離島の検疫

去る1月23日に日本の9つの境界自治体の首長さんたちが語り合うオンラインセミナーが開催されました。テーマは「境界地域と感染症」。主催者である境界地域研究ネットワークJAPAN(JIBSN)について、またリモート形式で300名を超える参加があったセミナーの模様はJIBSNホームページでぜひご覧ください。http://borderlands.or.jp/jibsn/

このセミナーで私は境界地域の自治体におけるコロナウイルス感染対策の難しさなど多くの事を学びました。夏の観光シーズンに「島に来ないでくれ」と発信せざるえない町長、コロナウイルスパンデミックで露呈した離島医療の脆弱さを訴える町長。多くの離島では感染病床が逼迫しているのではなく、存在していないのです。10月に感染者が出た与那国島は石垣島へ住民を搬送し、PCR検査を行う医療施設がない竹富町も検査は石垣島で。結果が出るまでの待機施設も町で用意するなど離島用のコロナ対応マニュアルがない中で真に現場のリーダーとしての責任を背負った首長たちの苦闘、離島で生きる苦労を学ぶことができました。

コロナウイルスパンデミックでは水際対策が国際線の空港・港で強化されましたが、一方では日々の感染者数の発表、緊急事態宣言の発令、域内感染防止対策などで都道府県の「境」が大変強調されました。ある離島の市長さんは「出張から帰るとばい菌のように言われた」と苦笑いしていましたし、東京都在住者である私との会議が中止となったこともありました。まるで県境に検疫所でもあるようでした。検疫(Quarantine)とは税関(Customs)、出入国管理(Immigration)とともに国境(National border)越える交通や物流において必要であり国内移動には不要な手続きでした。今回のコロナウイルスパンデミックの経験を生かすのであれば「感染検疫」(Infection quarantine)を国内移動にも適用することも必要ではないでしょうか?離島であれば空港・港でのサーモグラフィによる発熱者の感知体制の常設、入島者への体調申告の徹底などです。医療体制が脆弱な境界離島をパンデミックから如何に守るか?大事なテーマだと思います。

与那国空港
Dr.コト―の診療所でも感染病床はありません。

 

 

 

 

2021年2月10日